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2007年05月08日

フルスクール カリキュラム

フルスクールのカリキュラム
フルスクールでは、子どもの興味を引き出し、かつ学習効果を高められるよう、
内外の先進的なスクール訪問やカリキュラム調査を行い、それらを参考に、
自ら考える力を重視した、独自のカリキュラムを開発・提供しています。


(1) カリキュラムの構成

カリキュラムは以下の4つで構成されています。

ベイシック学習 日本語・算数/数学・英語・音楽・アート・体育など、
基礎学力を身に付けます
テーマ学習 興味深いテーマを設け、テーマを通して
複数の科目の学習項目を学びます
プロジェクト学習 自分で興味あるテーマを決め、調べたり実験し、
まとめ、発表することで、自ら学ぶ力をつけます
とことんやろう! 興味のあることや得意なことを、計画を立てて
“とことん”取り組み、自分に自信をつけます

basic.jpg ①ベイシック学習で培った基礎学力を使って、②テーマ学習、③プロジェクト学習、④とことんやろう、で学習を発展させていきます。

(2) アセスメント(評価)

フルスクールでは、ペーパーテストによる成績評価は行いません。
学期毎に、お子様の学習の様子から、伸びた点や強みなどを、
担当のナビゲータがアセスメントとしてまとめます。
アセスメントは、各学期末に保護者面談を実施し、ご報告させていただきます。

(3) カリキュラムの特徴

● 出る杭を伸ばします

   それぞれの子どもが持つ突出した好奇心や探求心を存分に満たし、
   個々の持つ強みをより伸ばして、そこから得られる自信とエネルギーで、
   様々なことにチャレンジする力を付けます。

● 主体的に学びます

   先生からの一方通行な受け身学習ではなく、
   興味あるテーマを自ら見付け出して、調べ、判断し、表現するよう、
   物事に積極的に関わって学ぶ姿勢を取ります。

● 本物で学びます

   教科書やテレビなどから得られる知識だけでは不十分です。
   現地や博物館などに出掛けたり、自らの手でものを作り出すなど、
   実体験を通して頭と心と体で学習します。

● 表現と対話を重視します

   自分の考えや気持ちを素直に表現し、お互いに刺激し理解し合う機会を
   多く持ちます。

ベーシック学習

カリキュラム ①ベイシック学習

ベイシック学習では、基礎学力を身に付けることを目的とします。

(1) 時間、及び1週間の回数

小学生 中学生
低学年 中学年 高学年
日本語 40分×1 40分×2 40分×1 40分×1
読む 15分×4 15分×5 15分×5 15分×5
書く 15分×4 15分×5 15分×5 15分×5
漢字 15分×4 15分×5 15分×5 15分×5
英語 40分×1 40分×1 40分×1 40分×2~3
算数/数学 25分×4 25分×5、40分×2 25分×5、40分×2 25分×4、40分×1
アート 40分×2 40分×1.5 40分×1.5 40分×1.5
音楽 40分×1 40分×1(隔週) 40分×1(隔週) 40分×1(隔週)
体育 70分×1 70分×1 70分×1 70分×1


(2) 内容

< コミュニケーション日本語 >

日本語 ねらい 正しい日本語を使って、自分の伝えたいことを表現し、かつ相手の伝えたいことを読み取ることができるよう、言語感覚を豊かにすることを目標とする。 更に中学クラスでは、古典に親しみ、日本語について更に理解を深めることを目標とする。
教材 市販の教材(読解、文法)
学び方 読解:みんなで同じ文章を読み、それに対する設問をいっしょに考えます
文法:市販の教材を使い、個別に学習します
作文:与えられたテーマに従い、作文を行います
  
読む ねらい 毎日継続的に読書をすることにより、本に親しむことを狙いとする。
また、内容を理解し、創造力を養い、本を通して世界が広がることを目標とする
学び方 毎朝15分間、各自自分が選んだ本を読む
 
書く ねらい 毎日少しずつ文章を書くことを通して、書くことに慣れ親しみ、書く楽しみを感じてもらう。また、言葉、文のつながり、構成を考えながら書くことができることを目標とする。
学び方 毎日、1日の終わりに自分の思うことや感じることを書く
 
漢字 ねらい 日常生活に必要なレベルの漢字の読み書きができることを目標とする
学び方 市販の教材、漢字検定
 
< コミュニケーション英語 >
英語 ねらい <小学生>
・積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を培い、聞くこと、話す事など実 践的コミュニケーション能力の基礎を養う
・英語の音やリズムに慣れ、数、色、動物、体の部位などの基本的な単語と共に、日常生活に必要な会話表現を学ぶ
<中学生>
・「聞く」「読む」「話す」「書く」ための表現力、理解力とコミュニケーション能力を身につける
・広い視野から国際理解を深め、国際社会の一員としての自覚を養う
教材 ビデオ、英語絵本、その他市販の教材
学び方 ・ネィティブスピーカーと日本人ナビゲーターによるティームティーチング
・ネイティブスピーカーの英語発音に慣れ、 英語の音に慣れ親しむ
・英語を使ってのアクティビティを通して五感を使いながら英語の使い方に慣れる
 
算数
数学
ねらい 基本的な算数/数学の力を身に付ける
教材 市販の教材(読解、文法)
学び方 市販の教材を用いて、自分にあったところを自分のペースで進めていきます。
わからないところはナビゲーターに質問しながら、無理なく進めることができるので、わからないまま授業が進んでいくということがありません。
一方、どんどん進める子は学年に関係なく進むことができます。
 
芸術
/アート
ねらい 自由な発想を楽しく表現する
教材 紙、ねん土、木材、布など
学び方 色々な素材を使って、表現を楽しむ
 
芸術
/音楽
ねらい 音楽のいろいろな面を知り、楽しむ。みんなで音楽をする楽しさを味わう
教材 ピアノ、リコーダー、ピアニカ、自作楽器、ミュージックベル、ビデオ
学び方 合奏をする。歌をうたう。
  
体育 ねらい 体を動かすことを好きになる
学び方 公共の施設・グラウンドに出掛け、様々なスポーツ(サッカー、野球、キックベース、バスケットボール、ドッジボール、水泳、50m走など)を行う。
スポーツをしながら、ルールやチームワークなど、社会性を身に付けていくことも心がけている。

テーマ学習

カリキュラム ②テーマ学習

子どもにとって興味深いテーマを設け、 そのテーマに沿って様々な側面から学びます。

(1) テーマ学習の進め方

テーマに沿って、様々な取り組みを行います。
 ~ 調べる、実験する、作る、話し合う、考える、まとめる、発表する

そうした取り組みを通して、以下の基礎的な学習項目を横断的に学びます。
 ~ コミュニケーション(日本語・英語)、算数、理科、社会、芸術

テーマはバランスを考慮して選び、1週間に2回(80分×2コマ)行ないます。

(2) テーマ学習の例
クラス テーマ
小学生 低学年 わたしとあなた、春の自然、パン、光とかげ、お店、
みのりの秋、おまつり、行く年来る年、交通
中学年 川の自然、水、あたためる、紙、星空、磁石、
地図、木工、オーマイ兵庫、ゴミ
高学年 植物、電池、お金、建築、飛行機、雪、技、
伝える、天体
中学生 幕末、波、働く、大航海、エネルギー、福祉、
世界の家、今年のニュース、ECO、混ぜる

他にも、全クラスで同じテーマに取り組み、それぞれの学年に合わせた学習をします。
 例:オリンピック、日本文化、夢

(3) テーマ学習の取組事例

・テーマ「伝える」(小学中高学年)(2004年1~3月)


< テーマ学習 : 海とくらし > (小学中学年)(2006年6~7月)
 1学期後半のテーマ学習は夏が近いこともあり、全学年“海”に関連したことに取り組みました。中でも3~4年生は「海とくらし」と題し、“海の恵み”である海産物を出発点に、海は私たちの暮らしとどのように関わっているかを考えました。周りを海に囲まれている日本の食卓には、外国と比べると、特に魚介類がたくさんあります。西洋化されたとはいえ、まだまだ昔と同じように海から恩恵を受けて生活しています。そこで魚を食卓に届けるまでにたくさんの人が関わっていることを知ってほしい。また海の大きな役割の一つである「運ぶ」にも目を向け、外国との貿易によって暮らしが豊かになってきたことを知ってほしいと思って、このテーマに取り組みました。
海産物はどこからやってくるの?
 まず、身近な場所から興味を持つために、阪急岡本駅近くの魚屋とスーパーへ行き、魚がどのように売られていて、どんな魚がどこからやってきたのかを調査しました。「どこから魚を仕入れるのですか」「どうして魚屋になったのですか」など積極的にお店の人に質問をしたり、じっと店先にあるものを観察しメモやスケッチをしたりなど子どもによって反応は様々ですが、社会の場から学んでいきました。 theme%2006%201st-1.jpg
魚屋さんで切り身の作り方を教わったよ →
セリって何?漁業って何?
theme%2006%201st-2.jpg  その後、明石の昼セリの見学に行きました。そこでは船が着いて漁師さんがセリにかける魚を運んでいるのを目の当たりにしました。生きのいい魚を届けるために、生きたまま生け簀に入れてセリにかけるなど工夫していることがわかりました。漁業センターでは養殖漁業の取り組みを知り、実際にヒラメやタイの稚魚を見たり、サザエやアワビの赤ちゃんを見ました。
← 明石の昼セリを見学。言葉がわかんな~い
自分で調べよう
 テーマ学習で大切にしていることの一つに各自が「調べて学ぶ」ということがあります。自分でインターネットや本を使って調べ出すととてもイキイキと意欲的に学び始めます。今回は2つのトピックを調べることにしました。一つ目は魚を1種類選び、どこでいつどんな方法で捕れるのかを調べました。二つ目は漁師さんに注目して漁業の形態の違いで漁師さんの暮らしにどんな違いがあるのかを調べました。
このテーマを通して学んだこと
 ここで1人の子どもの様子を紹介します。絵を描くことが大好きで得意なKくんは、調査に行った店先で見たものをさっとスケッチをし、発表の資料を作る時は自信を持って絵を描いていました。以前から『絵を描くこと』は彼の表現手段の一つとして大きな強みなのです。周りの友達も「Kくんは絵が上手だよね~」などと言って認めています。

 実はKくん、初めは魚に触れることを嫌がっていたのです。見学に出かけた漁業センターの魚に触れるコーナーで、他の子がうれしそうに触っているのを見ながらも、彼は手を出さずに見ていました。でもその後一つ目の調べ学習で、サバについて調べたり、須磨海浜水族園の裏側で魚にイカやイワシをえさとしてあげたりするなど、このテーマ学習を通じて何回か魚を見て触れる機会を持つと、興味が出てきたようです。魚料理をした時には、楽しんで魚をさばいていました。調理後アジの唐揚げは持って帰ると言っていたのですが、他の子が「おいしい」と言うので一口食べてみると、、、そのあと全部食べ切っていました。

 そんな彼は二つ目の調べ学習で漁師さんに注目して漁業について調べる時、何を調べるか決めかねていました。図書館から借りてきた、漁業についての本がたくさんあったので、何冊かを渡しました。彼はそのうちの1冊をめくり、収穫されたたくさんの魚が一面に大きく写っているページを「わぁ」と言ってじっと見つめていました。「魚いっぱいやなあ」とビックリした様子でした。そして「これを調べる」と決めました。

 魚に興味を持ち始めた彼の目は“大漁”の魚に釘付け。その本には沖合漁業の漁師さんの一日が書いてありました。一緒にその本を見て“漁師さんは朝2時に起きて3時に出港する”、“丸一日以上船の中で過ごし、網のあげおろしを10回する”、“捕った魚は船の生け簀に入れて市場に運ぶ”などがわかりました。Kくんはもともと本を読むのが好きなので、内容をしっかり理解しながら読んでいました。
そして発表のためにその本の内容をまとめることにしました。まず、底引き網漁の船の絵を、本の写真を見ながら、画用紙に見えやすいように大きく描きました。次に、本の文章をナビと一緒に抜き出してノートに書いていきました。なんとノート3ページに渡って文章を書き上げたのです!1時間近くもずっと黙々と書き続けていました。今までは得意の絵で表現していたことが多かったのですが、今回は文章をたくさん書いて言葉で伝えようとしたのです。ノートにはあふれんばかりに字で埋め尽くされていきました。
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 発表会の質問で「漁師さんを調べて、漁師になりたいと思いましたか?」と聞かれ、彼は「うん」と大きな声で自信を持って答えていました。決して楽ではない漁師さんの生活がわかったと思うのですが、それよりもたくさん調べ書き出したことを皆に伝えることができた達成感が彼の大きくうなずいたところに表れていました。

 このテーマを通じ、彼が魚や漁師さんの仕事に興味を持ったことが大きな収穫です。このように、テーマ学習は、社会のことを身近な話題と共に取り上げ、様々な分野に興味を持ちながら学び、視野を広げることを目的に取り組んでいます。

テーマ「伝える」(小学中高学年) (2004年1~3月)

カリキュラム ②テーマ学習

子どもにとって興味深いテーマを設け、 そのテーマに沿って様々な側面から学びます。

(3) テーマ学習の取組事例


< テーマ学習 : 伝える > (小学中・高学年)(2004年1~3月)
 小学3~6年生を対象に「伝える」というテーマ学習を実施しました。
自分の意見をしっかりと言うことが出来る子が多いのですが、意見を言う時にもう少し工夫したり、もっと相手の気持ちを汲み取ったり、そんなコミュニケーション能力が付けばいいなとナビゲータ側で考えて、このテーマを選びました。
言葉がなかったら、どうやって伝える?
 前半では「伝える手段には何があるか」、「言葉がなかったらどうするか」をジェスチャーゲームや、伝言ゲームなど様々な体験を通して、気持ちをしっかり伝えるにはどうすればいいか考えました。
 例えばジェスチャーでは上手くいっても、言葉を使える伝言ゲームでは成功しなかったりと、子どもたちはだいぶ苦労していました。
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伝言ゲームの様子 →
テレビは何を伝えているの?
theme%2004%203rd-2.jpg  後半では身近に接している新聞やラジオ、テレビなどのマスメディアはいったい何を私たちに伝えてくれているかを考えていきました。ラジオやテレビで活躍中のキャスターである森田真奈美さんに話を伺った時には、「伝えることで大切なことは滑舌(カツゼツ)よく話すこと」だとを聴きました。
 そして発表に向けて、今までこのテーマで学んだことを活かして“子どもが創るニュース番組とCM制作”を1ヶ月かけて取り組みました。

← 自作のラジオを聴いてマス。聴こえる?
ニュース番組を作ろう!
theme%2004%203rd-3.jpg  ディレクターやカメラ係、タイムキーパーなどの役割や、誰がどんなニュースを紹介するかなど子どもたちだけで考えて進めていきました。ニュース番組もCM制作も、ニュースの素材探しや番組構成、撮影や編集などと、子どもにはハードワークでしたが、ナビゲータからは簡単なフォローと、撮影や編集などの技術的アドバイスだけで、子どもたちが主体的に考えて創り、なんとか完成させました。 theme%2004%203rd-4.jpg
theme%2004%203rd-5.jpg  本番では、全員がキャスターになってニュースを伝えました。左の写真はちょうど本番の3秒前で、メインキャスターの2人とタイムキーパーが写っています。
このテーマを通して学んだこと
 このテーマを通して「これこそが伝えるだな」と強く感じたことがあったので紹介します。

 彼女は当時4年生で、とてもしっかりしていて芯の通った子です。でも、人前で発表することはとても苦手で、原稿で顔が隠れてしまい、声もほとんど聞こえません。
 発表本番2日前にみんなでリハーサルをしたのですが、彼女は原稿を半分ほどしか読まず、声もほとんど聞き取れないままリハーサルを終えてしまいました。その後、そのリハーサルの状況をみんなでビデオを見て確認し、それぞれがよくないところの意見を出し合いました。彼女は3年生の子から「原稿を自分の言葉に替えれば、上を向いてもう少し大きな声で話せるんじゃない?」とズバリ指摘されました。
 今までだったら、「私はこれでいいの!」と言うはずの彼女ですが、この時はビデオで自分の姿を客観的に見たというのもあって、ハッと気づいたらしく、一目散にパソコンに向かい、原稿を自分の言葉に書き直していました。僕はこの様子を横目で見ていて、これが真の「伝える」だなと感心しました。
 

 翌日が発表会でした。どこかに自信が生まれたのか、今回はお母さんに見に来るよう誘って発表に臨みました。
 声はまだあまり出ていませんが、顔をあげ、カメラに目を向け、以前とは比べようもないくらいに堂々としたキャスターになっていました。

 今回は彼女だけに限らず、他の子もここでの教訓を活かして、堂々と楽しく発表をしていました。今後も学期に2回ほど発表会があるので、それぞれが個性を出して、しっかりと「伝える」発表をしてくれることを期待しています。
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プロジェクト学習

カリキュラム③ プロジェクト学習
プロジェクト学習では、問題解決能力を身に付けることを目的とします。
個人またはグループで取り組みます。
1週間に1回(80分×1コマ)、または2回(80分×2コマ)行ないます。


(1) プロジェクト学習の進め方

 1.テーマを決める 日頃「知りたい!」とか「どうして?」と思っていることをテーマに決めます
 2.調べる インターネットや図鑑で調べたり、現地見学やインタビューを行ったりします
 3.まとめる 調べた内容やわかったこと(結論)を、画用紙にまとめたり、プレゼンテーションソフトなどを利用して、資料を作ります
 4.発表する まとめたことを、発表会でみんなに発表します

(2) プロジェクト学習 テーマの例

・温暖化はなぜ起こるのか?
・土星の輪の正体は?
・ニュージーランドのペンギンについて
・映画館ではどうしてポップコーンを食べるの?
・べっこう飴はどうやって作るの?

など様々なテーマを子どもたちは見つけてきます。
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(3) プロジェクト学習の取組事例

「交通信号について」5年生Yくん (2004年3学期)
「盲導犬について」2年生Aちゃん(2006年1学期)

テーマ:「バードコール作り」 (2008年1学期)
 4年生のMちゃんはプロジェクト学習で「鳥」について取り組んでいました。六甲山のびのびロッジには色々な鳥がやってくるので、興味を持ったのです。インターネットや図鑑で、六甲山にいる鳥について調べ、自分のオリジナル野鳥図鑑を作りました。
 そして、その図鑑を使って、実際に自分の目で鳥を観察したいと思ったのですが、鳴き声が聞こえても姿が見えなかったり、姿が見えてもすぐに逃げてしまったり…思うように観察できずに困っていました。

 そんな時、ある本にバードコールがのっていました。バードコールが「鳥の鳴き声に似た音が鳴り、鳥を呼ぶ道具」ということを知ると、「これで鳥を呼び寄せて観察できる。作ってみたい!」と言い出しました。
 ですが、Mちゃんは実際にバードコールを見たこともなく、本には作り方が書かれていません。
 そこで、ナビとも相談しながら考え「木とネジなどを擦りあわせればできるのでは…」というアイディアを基に作ってみることにしました。キリで板に穴を開け、そこにネジを差し込んで、第1号が完成。しかし、全く音は鳴りません。
 でも、こんなことでMちゃんはあきらめません。材料を色々と変えてみます。かまぼこ板を使った2号、コルクを使った3号、固い板を使った4号、かまぼこ板を重ねて使った5号…などなど、Mちゃんは自分で考えたアイディアを次々に形にし、試しましたが、鳥の鳴き声のような音はなかなか鳴りませんでした。


 それでも、Mちゃんはまだまだあきらめません。ナビから「摩擦が大きいと音も大きくなるかも」というアドバイスをもらうと、キリで開ける穴を小さくし、そこにネジを差し込んでいくように工夫して作ってみました。すると、「キーコ、キーコ」と良い音がなりました!
 これまでに作った種類は約7種類。本業の鳥観察はそっちのけで約2ヶ月間、バードコール作りに没頭していました。「これでバードコールが完成して、ようやく観察が始まるな」とナビは思っていました。
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IMG_5696b.jpg  ところが…Mちゃんはそれでは満足せず、「もっと大きな音を鳴らしたい!」とさらなる改良を続けることに。「ギターみたいに箱型にすると音が響いて大きくなるんじゃないか」と音楽好きのMちゃんらしいアイディアが生まれました!早速、木の板を付け足し、箱型にしてバードコールを作って鳴らしてみると…「キーコ!キーコ!!」見事前作のバードコールよりも大きくて良い音がなりました!しかもその音色はまるで鳥の鳴き声のよう。
 早速、外に出て鳴らしてみます。「キーコ!キーコ!!」すると鳥が、「ピー!ピー!!」と元気よく返事をし、近づいてきました。
 このバードコールのおかげで、以前よりも近くで鳥を観察できるようになったMちゃんは、よほど嬉しかったのか、それからと言うもの、いつもバードコールを持ち歩くようになりました。

 Mちゃんは、これまでも、苦手な逆上がりや、跳び箱など、自分のやりたいことには満足するまで繰り返しチャレンジしてきました。
 私はそうやって地道に努力を続けるMちゃんを見ていると、数々の偉人の姿を思い浮かべてしまいます。ピカソは自分の表現の可能性に挑戦し続け、生涯で8万点もの作品を残しました。手塚治虫はディズニーのアニメ映画「バンビ」を映画館で100回も繰り返し見て、アニメーションの勉強をしたそうです。エジソンは何千回、何万回も失敗を繰り返した末に、数々の発明品を生み出しました。
 そんな偉人の姿とMちゃんを重ねて感動してしまう私は親馬鹿ならぬ、ナビ馬鹿とでも言うのでしょうか…。

「交通信号について」5年生Yくん (2004年3学期)

カリキュラム③ プロジェクト学習
プロジェクト学習では、問題解決能力を身に付けることを目的とします。
個人またはグループで取り組みます。
1週間に1回(80分×1コマ)、または2回(80分×2コマ)行ないます。
(3) プロジェクト学習の取組事例
テーマ:「交通信号」 (2004年3学期)
 5年生のYくんは、人前に出てみんなを笑わせることが大好きで、根はすっごく真面目で興味を持ったことにはドンドン打ち込む男の子です。
3学期のプロジェクト学習のテーマに、彼は「交通信号」を選びました。

pj%2004%203rd-1.jpg  インターネットで調べることが大得意の彼は、自分で“信号のページ”を探してきて、熟読していました。パソコンが好きなので、始めのうちは、信号の絵をペイントで描いたり、信号の動きをワードで書いていました。
 そんな中、これぞプロジェクト学習の真髄と思えることがありました。毎朝六甲山のびのびロッジへバスで移動しているのですが、たまたま彼の横に座った時、バスが止まる度に身を乗り出して信号を観察していたのです。そして
「あれは、どこの会社で作られたか知ってる?」と私に質問しました。信号に興味を持っても、信号の製作会社までは興味を持つとは思っていなかったし、信号機自体に種類があって、製作会社が違うことを私は全然知りませんでした。確かによく見てみると、信号といえども形や色が微妙に違うのです。好きだからこそ、ドンドン調べたくなる、そしてもっと興味がわく。これってすごいことだと思いませんか?
 この彼の興味を生かして身近なところで他の子にも興味を持ってもらえる発表を、と思って、「信号の写真を撮りに行く?」と提案してみました。すると「行きたい」というので、撮影に出かけました。それが左の写真です。7~8箇所で撮った写真を使って展示物を作りました。「どこの会社で作られたでしょう」とクイズ形式にして、見てもらうための工夫をしていました。
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 ちょうど発表会でプロジェクターが使えるようになったので、彼のパソコン好きを活かして、もっとわかりやすい資料作りができるのではないかと思い、「パワーポイントを使ってみたら?」と提案してみました。
 最初は乗り気ではなかったのですが、中学生の子がパワーポイントを使って遊んでいたのをじっと見ていて彼は自分でも使い始めました。こちらが使い方を教えたわけではないのに自分で使い方を学んで、資料作りに励みました。
 「試行錯誤する」ことに恐怖感やとまどいがないので、未知の世界に足を踏み入れることをこわがらず、そこから自分で学ぶ力がついています。そこは安心して見ていました。
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 発表会では、プロジェクターに資料を写して見せながら、堂々とした話しぶりでした。インターネットで調べた、変わった動きをする信号を、パワーポイントの資料で動きを表しながら、たくさん紹介していました。資料がわかりやすくなったので、観客の保護者や友達からは、「すごいね!」や「よくわかったよ」と絶賛する声がたくさん聞こえてきました。
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 プロジェクト学習は興味を持ったことを調べ、まとめることで、じっくりと深く追求することができます。「知りたい!」と思って自分で苦労して得た知識は、これからの彼らの糧になることは間違いないでしょうし、「みんなに知ってほしい!」と思って人に伝える練習が小学生のうちからできるというのは、これから役立つことだと思います。発表に関しては回を重ねるごとに、それぞれのペースでどんどんレベルアップしています。
 ナビゲータは子どもたちの興味に沿って自分で調べられるようにアドバイスをし、発表という形にもっていくために選択肢を示すなど、手助けをしています。今回のパワーポイントや信号撮影はその一つで、こちらがちょっとヒントを出すと、それだけでもう子どもたちはどんどん進んでいきます。毎回どんなテーマが出てくるか、どんな発表になるのかが、とても楽しみです。

とことんやろう!

カリキュラム ④とことんやろう!
子どもたちが「とことん」と呼ぶ、最も人気のクラス。
その名の通り、興味あることに“とことん”打ち込む時間です。
個人又はグループで取り組みます。


(1) 進め方


 1.取組内容を決める 自分の興味のあること、得意なことの中から、
取り組みたい内容を決めます
 2.目標を立てる できるだけ具体的に、目標を立てます
 3.とことん取り組む 目標を達成するまで、とことん取り組みます


(2) 「とことんやろう!」の例


・よく走るレゴの車を作る
・アニメーション作り
・コマを回して手に乗せる
・鉄棒をする
・野球のピッチング練習をする
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(3) 「とことんやろう!」の取組事例

「お菓子作り」4年生Yちゃん (2006年1学期)
「鉄棒ができるようになる」6年生Kちゃん (2006年2学期)


「ギターを弾けるようになる」 (2006年1~2学期)
 6年生の男の子Sくんは1学期のとことんに「ギター」を選びました。ギターを選んだ理由を尋ねてみると、前にいた学校でキャンプに行ったとき、ギターがうまいお兄さんがいて、いつか自分もうまくギターが弾けるようになりたいと思っていたからだそうです。
 ロッジに使っていないギターがあったのを見つけたことと、ギターが弾けるナビゲータがちょうど1学期からきたのが「やってみよう」という気持ちをオンにしたきっかけになったのかもしれません。
tokoton%2006%201%262-1.jpg  楽器を練習する時、初心者でしかも最初の方は「やりたい」気持ちはあるものの、思ったように弾けないことに嫌になってしまうことがあります。
 彼も練習を始めたころは弦をしっかり押さえることが出来ずなかなか音が出ませんでした。指も思ったように動かず、慣れない指はすぐに痛くなって「弾かれへ~ん!」と嘆いたり、「もう疲れたぁ~、ちょっと休憩するわ!」と5分おきに言ったりと悪戦苦闘していました。そんな様子を見ながら、私たちナビは「最初は誰でも弾けないんやから」「そのうち絶対弾けるようになるって」と励ますものの、あまり彼の耳には入っていなかった気がしました。


  おもしろくなくなったら、友達がやっているレゴを一緒にやっていることもありました。それでも弾きたい曲をインターネットで見つけたり、家にもギターを持って帰って練習したりと自分なりに取り組んでいました。でも点きかけていたやりたい気持ちが夏休みで消えはしないかと少し心配していました。

 2学期に入り、彼は引き続きとことんの時間に「ギター」に取り組むことにしました。そんな中毎年子どもたちが企画して行っているお楽しみ会で、「バンド演奏をしよう!」というナビの提案があり、彼は一番に手を挙げ、バンドに参加することにしました。


 バンド練習をするために、クラブの時間(週1回1時間)も残って練習をしていましたが、なかなかすぐには上達しませんでした。そんな状態に彼も苛立ってきたのか「もっと簡単やと思ってたぁ~」ともらしていました。
 でも彼のすごいところは決して諦めなかったところです。「バンド演奏をする」という明確な目標が出来てから、彼の取り組みは少しずつ変わり始めたように私には見えました。とことんやろうの時間以外に休み時間の5~10分間に、誰に言われなくても自らギターを持ってこつこつと練習するようになっていったのです。毎日毎日ずっと練習を続けていったので、だんだんと音が鳴るようになってきて、ようやくギターの演奏らしくなってきました。そばで聞いていると、最初はぎこちなかった音も少しずつ上達していくのがわかりました。


 そうすると、周りの友達やナビから「弾けるようになってきたね!」とか、「すごいやん!」などとほめられ始めました。本人は回りの人たちのそんな声が嬉しいようでにこにこしていました。少しずつ弾けるようになると、更に練習に熱が入っていき、みんなの前でもどんどん弾いていくようになりました。
 お楽しみ会の本番まであと少しと迫った頃の練習では、めきめきと腕をあげていました。


 12月のクリスマス会本番での演奏も見事にこなし、アンコールまでもらいました。アンコールをもらった時、彼は「あと4ヶ月ちょうだい!」と答えたそうです。まだ弾ける曲は1曲しかなかったのです。この時もらったアンコールを演奏するためか、まだまだ彼のギターは、しばらく続きそうで、3学期も続けています。 tokoton%2006%201%262-2.jpg


 この「とことん」を通じて、彼はやり続けると出来るようになる楽しさを学んだようです。自分の好きなことをやりたい時にはものすごく集中しています。そればかりでなく、スクールでの彼の様子が変わってきたように感じました。例えばテーマの時間の話し合いで司会をかってでたり、ホームルームで積極的に意見を言ったりなど、今まで以上に自分に自信を持って行動する姿が目に付き始めました。彼はこのギターで、諦めずにとことん取り組む楽しさを味わったとともに、「やれば出来るんだ」という大きな自信を身につけたのです。次はどんな曲を聞かせてくれるのか、楽しみにしています。

「お菓子作り」 2006年1学期

(3) 「とことんやろう!」の取組事例


「お菓子作り」 (2006年1学期)
 元気いっぱいで、走ったり飛び跳ねるのが大好きな4年生の女の子Yちゃん。彼女はこの1学期の「とことんやろう!」に『お菓子作り』をすると決めました。以前からお菓子作りには興味があって、他の子がお菓子作りをしていると、必ずといっていいほど「手伝う~!」と言って、一緒にお菓子作りをしていました。
tokoton%2006%201st-1.jpg  お菓子を作る作業自体が楽しく、作業中はとても集中して真剣そのものでした。いつもにぎやかな姿とは別人のようです。卵白を泡立てた時、彼女は手が痛くなるまでかきまぜて、前髪をメレンゲだらけにしながらも角を立てていました。大人でも手動で卵白を泡立てるのは大変です。彼女は友達やナビゲータにも手伝ってもらいながらしっかりと取り組んでいました。自分で作ることが出来たことがうれしかったようで、とてもいい顔をしていました。


 最初は時間がかかりすぎてしてしまい、後片付けが時間内に終わりませんでした。とことんの時間は1時間20分。オーブンを使う時はたいてい時間が足りません。そのことを注意されて、彼女は「時間内に終わらせるためには、早く作り始めよう」と自分で考え、昼休みから作り出しています。お弁当を食べ終わってすぐ、遊ぶ時間を削って昼休みから取り組んでいるのです。自分で決めたからとても積極的です。


 そして彼女は、出来上がったお菓子を家族や友達に食べてもらうのを一番楽しみにしていました。お菓子作りの醍醐味はそこなんです。作る過程や出来上がることはもちろん楽しいものですが、友達や家族に食べてもらって「おいしかった」「すごい」と言ってもらえることが、何より自信につながります。そしてまた「おいしい」と言ってもらえるお菓子を作ろうとさらに気合いが入っています。
 右の写真は母の日にお母さんに渡すためにお手紙を書いているところです。心のこもったプレゼントになりました。
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tokoton%2006%201st-3.jpg  好きなことをやりたい時には、気持ちの入りようが違います。彼女の場合、それが今回のお菓子作りでした。お菓子を作りたいからレシピにある難しい漢字をがんばって読もうとしたり、苦手で面倒くさかった片付けを素早くできるようになったりと「やりたい」と思うことがどんどん出来てきます。出来ることが増えるという楽しみもあります。


 1学期の途中でも、ナビゲータみんなが彼女に対して「変わった」という印象を持っていました。この「とことんやろう!」の時間で集中力や自信を身につけると、他の時間にもいい影響を及ぼし、とっても落ち着いて過ごすことが出来ています。

「鉄棒ができるようになる」 2006年2学期

「鉄棒ができるようになる」 (2006年2学期)
 6年生の女の子Kちゃん。彼女は鉄棒初体験でした。うまくできないのでなかなか鉄棒には近付こうとしなかったKちゃん。小さな子達がわーわーにぎやかに鉄棒にしがみついて騒いでいるのを横目で見ていました。鉄棒に飛びついて上がっても、頭を前に持っていくのが怖いので前回り降りができません。補助に入ろうとしても何か怖いことをされるのではないかと信用してもらえず、最初のうちは言葉でアドバイスするだけ。横で落ちないように見守るしかありませんでした。鉄棒に上がっても次にどうするか迷ってなかなか決心が付かずじっとしていることが多かったのです。
tokoton%2006%202nd-1.jpg  そんな彼女が鉄棒をとことんやってみようというのです。できないことを人に見られるのがとっても嫌いだった彼女が鉄棒をみんなの前で練習しようというのです。何がきっかけなのか不思議に思いました。彼女に理由を聞いてみると「体育でやったから」「やってみたくなったから」とごく自然な答えが返ってきました。

 最初にヒザを曲げて足で逆さまにぶら下がる技(みんなはコウモリと呼んでいます)ができるようになりました。鉄棒が低いので手を伸ばせば床に手が着くので安心できたのだと思います。お腹でぶら下がって「痛いからできない」と言っていたのが、「足の付け根でぶら下がれば痛くない。」「手を離しても落ちない。」ことを体験したころから、どんどん積極的に練習するようになりました。そして前に回って降りることができるようになりました。最初はドタッと降りていたのがスピードをコントロールして静かに降りることができるようになりました。掌の指の付け根がすぐに赤くなって痛がっていました。 tokoton%2006%202nd-2.jpg

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