4.とことんやろう!

とことんやろう!

カリキュラム ④とことんやろう!
子どもたちが「とことん」と呼ぶ、最も人気のクラス。
その名の通り、興味あることに"とことん"打ち込む時間です。
個人又はグループで取り組みます。


(1) 進め方


 1.取組内容を決める 自分の興味のあること、得意なことの中から、
取り組みたい内容を決めます
 2.目標を立てる できるだけ具体的に、目標を立てます
 3.とことん取り組む 目標を達成するまで、とことん取り組みます


(2) 「とことんやろう!」の例


・よく走るレゴの車を作る
・アニメーション作り
・コマを回して手に乗せる
・鉄棒をする
・野球のピッチング練習をする
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(3) 「とことんやろう!」の取組事例

「お菓子作り」4年生Yちゃん (2006年1学期)
「鉄棒ができるようになる」6年生Kちゃん (2006年2学期)


「ギターを弾けるようになる」 (2006年1~2学期)
 6年生の男の子Sくんは1学期のとことんに「ギター」を選びました。ギターを選んだ理由を尋ねてみると、前にいた学校でキャンプに行ったとき、ギターがうまいお兄さんがいて、いつか自分もうまくギターが弾けるようになりたいと思っていたからだそうです。
 ロッジに使っていないギターがあったのを見つけたことと、ギターが弾けるナビゲータがちょうど1学期からきたのが「やってみよう」という気持ちをオンにしたきっかけになったのかもしれません。
tokoton%2006%201%262-1.jpg  楽器を練習する時、初心者でしかも最初の方は「やりたい」気持ちはあるものの、思ったように弾けないことに嫌になってしまうことがあります。
 彼も練習を始めたころは弦をしっかり押さえることが出来ずなかなか音が出ませんでした。指も思ったように動かず、慣れない指はすぐに痛くなって「弾かれへ~ん!」と嘆いたり、「もう疲れたぁ~、ちょっと休憩するわ!」と5分おきに言ったりと悪戦苦闘していました。そんな様子を見ながら、私たちナビは「最初は誰でも弾けないんやから」「そのうち絶対弾けるようになるって」と励ますものの、あまり彼の耳には入っていなかった気がしました。


  おもしろくなくなったら、友達がやっているレゴを一緒にやっていることもありました。それでも弾きたい曲をインターネットで見つけたり、家にもギターを持って帰って練習したりと自分なりに取り組んでいました。でも点きかけていたやりたい気持ちが夏休みで消えはしないかと少し心配していました。

 2学期に入り、彼は引き続きとことんの時間に「ギター」に取り組むことにしました。そんな中毎年子どもたちが企画して行っているお楽しみ会で、「バンド演奏をしよう!」というナビの提案があり、彼は一番に手を挙げ、バンドに参加することにしました。


 バンド練習をするために、クラブの時間(週1回1時間)も残って練習をしていましたが、なかなかすぐには上達しませんでした。そんな状態に彼も苛立ってきたのか「もっと簡単やと思ってたぁ~」ともらしていました。
 でも彼のすごいところは決して諦めなかったところです。「バンド演奏をする」という明確な目標が出来てから、彼の取り組みは少しずつ変わり始めたように私には見えました。とことんやろうの時間以外に休み時間の5~10分間に、誰に言われなくても自らギターを持ってこつこつと練習するようになっていったのです。毎日毎日ずっと練習を続けていったので、だんだんと音が鳴るようになってきて、ようやくギターの演奏らしくなってきました。そばで聞いていると、最初はぎこちなかった音も少しずつ上達していくのがわかりました。


 そうすると、周りの友達やナビから「弾けるようになってきたね!」とか、「すごいやん!」などとほめられ始めました。本人は回りの人たちのそんな声が嬉しいようでにこにこしていました。少しずつ弾けるようになると、更に練習に熱が入っていき、みんなの前でもどんどん弾いていくようになりました。
 お楽しみ会の本番まであと少しと迫った頃の練習では、めきめきと腕をあげていました。


 12月のクリスマス会本番での演奏も見事にこなし、アンコールまでもらいました。アンコールをもらった時、彼は「あと4ヶ月ちょうだい!」と答えたそうです。まだ弾ける曲は1曲しかなかったのです。この時もらったアンコールを演奏するためか、まだまだ彼のギターは、しばらく続きそうで、3学期も続けています。 tokoton%2006%201%262-2.jpg


 この「とことん」を通じて、彼はやり続けると出来るようになる楽しさを学んだようです。自分の好きなことをやりたい時にはものすごく集中しています。そればかりでなく、スクールでの彼の様子が変わってきたように感じました。例えばテーマの時間の話し合いで司会をかってでたり、ホームルームで積極的に意見を言ったりなど、今まで以上に自分に自信を持って行動する姿が目に付き始めました。彼はこのギターで、諦めずにとことん取り組む楽しさを味わったとともに、「やれば出来るんだ」という大きな自信を身につけたのです。次はどんな曲を聞かせてくれるのか、楽しみにしています。
(3) 「とことんやろう!」の取組事例


「お菓子作り」 (2006年1学期)
 元気いっぱいで、走ったり飛び跳ねるのが大好きな4年生の女の子Yちゃん。彼女はこの1学期の「とことんやろう!」に『お菓子作り』をすると決めました。以前からお菓子作りには興味があって、他の子がお菓子作りをしていると、必ずといっていいほど「手伝う~!」と言って、一緒にお菓子作りをしていました。
tokoton%2006%201st-1.jpg  お菓子を作る作業自体が楽しく、作業中はとても集中して真剣そのものでした。いつもにぎやかな姿とは別人のようです。卵白を泡立てた時、彼女は手が痛くなるまでかきまぜて、前髪をメレンゲだらけにしながらも角を立てていました。大人でも手動で卵白を泡立てるのは大変です。彼女は友達やナビゲータにも手伝ってもらいながらしっかりと取り組んでいました。自分で作ることが出来たことがうれしかったようで、とてもいい顔をしていました。


 最初は時間がかかりすぎてしてしまい、後片付けが時間内に終わりませんでした。とことんの時間は1時間20分。オーブンを使う時はたいてい時間が足りません。そのことを注意されて、彼女は「時間内に終わらせるためには、早く作り始めよう」と自分で考え、昼休みから作り出しています。お弁当を食べ終わってすぐ、遊ぶ時間を削って昼休みから取り組んでいるのです。自分で決めたからとても積極的です。


 そして彼女は、出来上がったお菓子を家族や友達に食べてもらうのを一番楽しみにしていました。お菓子作りの醍醐味はそこなんです。作る過程や出来上がることはもちろん楽しいものですが、友達や家族に食べてもらって「おいしかった」「すごい」と言ってもらえることが、何より自信につながります。そしてまた「おいしい」と言ってもらえるお菓子を作ろうとさらに気合いが入っています。
 右の写真は母の日にお母さんに渡すためにお手紙を書いているところです。心のこもったプレゼントになりました。
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tokoton%2006%201st-3.jpg  好きなことをやりたい時には、気持ちの入りようが違います。彼女の場合、それが今回のお菓子作りでした。お菓子を作りたいからレシピにある難しい漢字をがんばって読もうとしたり、苦手で面倒くさかった片付けを素早くできるようになったりと「やりたい」と思うことがどんどん出来てきます。出来ることが増えるという楽しみもあります。


 1学期の途中でも、ナビゲータみんなが彼女に対して「変わった」という印象を持っていました。この「とことんやろう!」の時間で集中力や自信を身につけると、他の時間にもいい影響を及ぼし、とっても落ち着いて過ごすことが出来ています。
「鉄棒ができるようになる」 (2006年2学期)
 6年生の女の子Kちゃん。彼女は鉄棒初体験でした。うまくできないのでなかなか鉄棒には近付こうとしなかったKちゃん。小さな子達がわーわーにぎやかに鉄棒にしがみついて騒いでいるのを横目で見ていました。鉄棒に飛びついて上がっても、頭を前に持っていくのが怖いので前回り降りができません。補助に入ろうとしても何か怖いことをされるのではないかと信用してもらえず、最初のうちは言葉でアドバイスするだけ。横で落ちないように見守るしかありませんでした。鉄棒に上がっても次にどうするか迷ってなかなか決心が付かずじっとしていることが多かったのです。
tokoton%2006%202nd-1.jpg  そんな彼女が鉄棒をとことんやってみようというのです。できないことを人に見られるのがとっても嫌いだった彼女が鉄棒をみんなの前で練習しようというのです。何がきっかけなのか不思議に思いました。彼女に理由を聞いてみると「体育でやったから」「やってみたくなったから」とごく自然な答えが返ってきました。

 最初にヒザを曲げて足で逆さまにぶら下がる技(みんなはコウモリと呼んでいます)ができるようになりました。鉄棒が低いので手を伸ばせば床に手が着くので安心できたのだと思います。お腹でぶら下がって「痛いからできない」と言っていたのが、「足の付け根でぶら下がれば痛くない。」「手を離しても落ちない。」ことを体験したころから、どんどん積極的に練習するようになりました。そして前に回って降りることができるようになりました。最初はドタッと降りていたのがスピードをコントロールして静かに降りることができるようになりました。掌の指の付け根がすぐに赤くなって痛がっていました。 tokoton%2006%202nd-2.jpg