炭谷俊樹Blog

私と物理との出会い

今年の私の「探究の一文字」は「動」であり、

その意味は「自ら動く」とか「人に役に立つ」といったことです。

「動」の原動力の一つである「感動」についても考えました。

若いころの話になるのですが、

物理学、とくに素粒子物理は私に感動をあたえてくれた存在なのです。

 

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■ 私と物理との出会い
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私は小学生の頃、「宇宙の果てまで飛んでいったらその先には何があるのかな?」とか「スーパーボールはどうしてこのようなはね方をするのかな」とか考えるのが好きな、いわゆる「科学少年」で、最も好きだったのは、月刊誌の「学研の科学」を読み、付録の教材を作ることでした。今は残念ながらなくなってしまいましたが。

電気回路にとても興味があったのですが、階段の電気のスイッチが階段の上の下でもオン・オフできるのが不思議で不思議でしかたありませんでした。あるとき図書館で見つけた古びた電気回路の本に階段のスイッチの配線図を見つけて「なるほど、こうするのか!」と自分でも二つのスイッチを作ってみてできることがわかり、感動しました。

また印象に残っているのが「ドップラー効果」です。救急車やパトカーが「ピーポーピーポー」と勢いよく鳴りながら走ってくるのだけれど、通り過ぎると「ポーピーポーピー」と音が低くなるのが不思議でした。これについても音を波と考え、車の速度を考えると、どれくらい音が低くなるか簡単な足し算、引き算、割り算で計算できることがわかったとき、「そうだったのか!」と感動しました。

NHKの教育テレビ(今のEテレ)もよく見ていましたが、もっとも印象に残ったのが数学の「トポロジー」の番組でした。ものを連続的に変形しても変わらないものがある。たとえば、輪ゴムをいくら「びよーん」と変形させても輪ゴムの穴は常にひとつである。これを「トポロジー」といいます、という内容で、「へえー!」と感動しました。

最も衝撃だったのはアインシュタインの「相対性理論」です。光の速度は一定であり、それを超える速度で動けるものはない、また時間と空間は混ざっているという「特殊相対性理論」、重いものの回りは時空が曲がっていて、光ですら曲がってしまうという「一般相対性理論」のことを知り、「なんてすごいことを考える人がいるんだ!自分もアインシュタインのような物理学者になってノーベル賞もらおう!」と決めました(笑)。

炭谷科学少年の物理学者になりたいという情熱は20年近く続きました。大学院での研究テーマはアインシュタインの研究分野と同じ素粒子物理の分野でした。そこに子供のころに感動したトポロジーの概念を応用するという試みで、日本では珍しかったので注目されました。しかしながら世界に通用するレベルではなかったので挫折してしまいました。

感動に基づいた夢は20年で挫折してしまうのですが、逆に言うと20年近くも自分を動かす原動力となっていたのは今思えばすごいことですね。