エッセイ:「デンマークでの経験とラーンネット設立まで」

第3章 「“第3の教育”を創る」

○“第3の教育”を創る


 これまでの教育の流れは大きく分けると公立学校主導の管理教育と、フリースクールなどの自由教育の2つの流れがあります。ラーンネットは、第3の教育:ラーニングナビゲーションを実現します。大人が管理するのでもなく、子供に任せてしまうのでもなく、子供が自主性を持って自己管理し、興味を持ったことに取り組み、大人はこれを支援します。こういった学習環境を作っていきます。

○IT's NEWコンセプト


 ラーンネットでは、子供の主体性や個性を尊重しナビゲーターが発展を支援します。 ラーンネットの考える理想的な学習支援環境の特徴は下の”IT‘s NEW”モデルに集約されます。キーワードは、興味、個性、表現、疑問、そして限界のない成長です。このような条件が整えば、先生や親が”勉強しなさい”と言わなくても、本人が自らの好奇心に応じて、楽しくどんどん学習していきます。このような意味を込めて、下のロゴでは、IT's NEWの繰り返しで子供が無限(∞)に発展するイメージを表しています。
IT's NEWを実現するために以下のようなことを実践します。

  • 子供本人の興味や得意分野に応じて、個別の学習目標設定を行う。

  • 先生が”教える”のではなく、学習者自らの体験、観察、試行等に基づいて発見的に学習していくことをラーニングナビゲーターが支援する。

  • これによって、自ら考える力をつける。

  • 自分が学習したことを、ナビゲーターや他の学習者に発表、説明することにより、学習効果の定着をはかるとともに、表現力・コミュニケーション力を養う。

  • ○×式、択一式の100点満点のある世界ではなく、学習者の創造力・デザイン力によって、限界なき成長が得られる学習課題を扱う


IT's NEWモデル

○LGSの信念


 このような背景、考えのもとに、これまでラーンネットとしてパソコンを使った教室、実験教室、プロジェクト学習等のクラスを通じて、経験を積んで来ました。そしてこのたび、メニューを充実し、より総合的な、“ラーンネット・ グローバルスクール”として新たなスタートを切ることになりました。
その基本となる信念をここにあげておりますが、大事なことは子供一人一人を尊重することです。彼らの持つ興味や、疑問に耳を傾けることです。

 ある方が子供の時、先生に“ニューヨークってどうしてニューヨークていうの?”と聞いたところ、“ばかもん、そんな暇があったら勉強しろ”と怒鳴りつけたそうです。子供を尊重するということはこのような疑問を大事にし、学習のきっかけとするということです。

 そして子供に正直であるということです。“塾に行っていい学校に行けば、いい会社に行け、いい生活が出来るんだよ”といって塾に行かせている親が多いそうですが、それではうそになってしまいます。21世紀はそんな社会ではありません。子供を動かすための便宜的な言葉は結局は子供を傷つけることになってしまいます。

見せかけの言葉ではなく、心から思うことを子供と対話するという態度が必要と考えます。

  • 子供は、自ら学ぶ力をもっている

  • 自ら学ぶ力を発揮するのは興味ある課題に取り組むとき

  • 実体験や試行錯誤を通じてこそ、本当に役立つ知識や判断力が身につく

  • 子供は一人一人の人格として尊重されるべきである

  • 中味ある学習のためには、家庭および地域社会の協力が不可欠である

○ LGSのコンセプト


 ラーンネットグローバルスクール(LGS)の学習環境づくりの考え方を3つにまとめました。

 ・ 出る杭を伸ばします

 既存の学校は全ての子どもにとって最適な場であるとはいえません。ラーンネットではそれぞれの持つ突出した好奇心や探求心を存分に満たし、個々の持つ強みをより伸ばして、それで得られる自信とエネルギーで、様々なことにチャレンジする力を付けます。

 ・ 主体的に学びます

 先生からの一方通行な受け身学習ではなく、興味あるテーマを自ら見付け出して、調べ、判断し、表現するよう、物事に積極的に関わって学ぶ姿勢を取ります。

 ・ 本物で学びます

 教科書やテレビなどから得られる知識だけでは不十分です。現地や博物館などに出掛けたり、自らの手でものを作り出すなど、実体験を通して頭と心と体で学習します。

○LGSの特徴


 ここに掲げたようなコンセプトの実現のために、LGSは具体的にはこのような特徴があります。
クラスの人数が少ないということは大変本質的です。一人一人の個性や疑問を尊重し、ナビゲーターが対応するためには30人や40人では不可能です。多くても15人に抑えます。また、年齢の違う子供も同じクラスにいることにより、上の子の観察が刺激になったり、下の子に教えることで自分が大きく成長します。

 可能性の幅を拡げるという意味で、コンピュータ・英語を早くから身につけておくことも重要です。。LGSでは10−15台のパソコンがインターネットに接続されており、情報収集、発信が自由に行える環境が整っています。

 ネイティブスピーカもクラスに参加し、英語を使いたいと刺激されるように工夫します。

  • 少人数クラス、年齢混成

  • プロジェクト学習による自己学習能力

  • 参加型・創造型カリキュラム

  • 生の題材、本物を見る

  • 子供の強みを発見し伸ばす

  • コンピュータ・英語で幅を拡げる

 

 

○スクールの形態


 スクールの形態は3種類あります。

フルスクール

 既存の学校では物足りない方、LGSに共感していただく方のために、全日制のフルスクール形式があります。

アフタースクール

 普通の学校に通った放課後や週末に参加するのが、アフタースクール形式です。

モンテッソーリ幼稚園バンビーナ

 本格的なモンテッソーリ・メソッドを取り入れた幼稚園です。対象は年小から年長です。

○学歴・学校の多様化が進んでいる


 多くの方が、義務教育の意味を“子供たちは小学校と中学校に行く義務がある”という意味だと誤解されています。実は、“子供が小・中学校に行きたいときに行かせないようにしてはいけない義務が大人たちにはある”という意味です。逆に言うと学校に行きたい、行きたくないというのは子供本人が決めるべきことということです。これは文部省の役人がはっきりと公言されているので間違いありません。 不登校でも卒業資格はもらえるようになりましたし、検定制度も充実が図られており、決まった学校へ行くということだけが学歴の選択肢だけではない時代になっています。詳しくは、 寺脇 研 著 “動き始めた教育改革“(主婦の友社)をご覧下さい。
NHKの番組でも、宝島社の本でも学校以外の選択をして、生き生きと生きる道を選んだ親子の姿が描かれています。世界的なバイオリニストや小説家もそのような道を選んでいます。

 世界に目を移しても、規制の学校教育に疑問を持ち、新しいオルタナティブ教育を創っていく動きが起こっています。歴史のあるモンテッソーリ教育、シュタイナー教育をはじめ、子供の本来持つ力を引き出そうとする教育方法の実践がおこなわれています。

 みなさんのお子さんにとってどういう学習環境が一番良いのか真剣に考え、判断・選択することが、お子さんの将来にとって大変重要な意味を持っていると考えます。


[参考文献]

「動き始めた教育改革」(寺脇 研、 主婦の友社)
「フレネ自由学校だより」 (原 章二 光枝共著、 あゆみ出版)
「生のための学校」 (清水 満、 新評論 )
「学校に行かない進学ガイド」(別冊宝島)
「賢治の学校」 (鳥山 敏子、サンマーク出版)
「欧米フリースクール取材の旅」 (大沼 安史 、一光社)
「親が反対しても、子どもはやる」( 大前 研一 、The Japan Times )
「心の危機を救え」 (梅原 猛 、光文社 )

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