☆「第3の教育」をずっと実践してきた人がいる!
「らくだ教材」「教えない教育」「見えない学校」そして、
「子育て廃業宣言」、といった言葉を聞かれたことはありますか?
ちょっと変わった言葉ですね。これらは皆、「セルフラーニング研究所」
を主宰される平井雷太さんによるものです。
私は平井さんと今年の1月5日に初めてお会いしましたが、初対面で
意気投合、教育については私よりずっと先輩ですので、勝手に弟子にして
いただくことにました。以来色々と教えていただいているのですが、
彼の開発・実践されてきたいろいろな教育ツール、「らくだ教材」
「インタビューゲーム」「考現学」の3つがあるのですが、これらはまさに
”第3の教育”の実践そのもの。平井さんの長年の経験で醸成されたきた、
シンプルなツールの中に「うーん」とうならせる深みがあるのです。
これは実際に体験してみないとわからないと思うのですが、今日は
私なりの言葉で3つのツールをご紹介し、
独特の平井ワールドにご招待したいと思います。
☆基礎学力の第3の教育「らくだ教材」
「らくだ教材」は小中学生対象の算数・数学・国語・英語のプリント教材で
一見、何の変哲もないプリントに見えます。大きな違いはその使い方にあります。
平井さん自身、もともと公文で英語の教材開発をされていたことが
あるくらいですから、公文のプリントの良さも悪さもわかっているわけです。
公文は一人一人が違うペースで学べるという点では学校教育よりも
いい点がありますが、やはり基本的には”第1の教育”です、それは先生が
採点し、子どもを管理するからです。「らくだ教材」では子ども自身が自分で
採点し、管理するのです。自分が今どこに問題があるのか、どのプリントを
やるのがいいのか、全部自分で判断します。先生が「教える」ことはありません。
少し難しく感じるでしょうか?でもそれが出来るようになるように教材は工夫されています。
ラーンネット・グローバルスクール(http://L-net.com)でもこの「らくだ教材」を
6月より導入することになりました。そのためにはまずスタッフ自身が
この教材を自ら3ヶ月間やってみることが条件です。算数のプリントをやってみます。
スタッフは算数は得意のはず。ところがこれが意外と難しい。
原則は一日一枚やることになっています。ところが、たかが1日10分で済むことを
毎日こつこつやることが意外と難しいのです。今日は一杯飲みに言ったら忘れて
しまったとか、どうしてもやる気がでないとか、理由は様々ですが、意外と難しい。
子どもでも色々なところにつっかかるようです。もちろん計算が難しくて出来ないことも
あります。その場合は出来ないまま次に進んでもうまく行きませんから、繰り返して
やることになる。何日も同じプリントをやり続けることになり、苦しくなってきます。
このような問題をいかに自分で乗り越えるか?がポイントです。
平井さんは”問題があったときこそ、もっとも学びのチャンス”と言います。算数の得意な
子が、学校のプリントでずっと100点をとり続けてもそれは本当の意味での成長では
ない。「らくだ」が面白いのは、そんな優等生でも必ずどこかでつっかかる。そこで
どうやって乗り越えるか?「らくだ」では親が「プリントしなさい」と言ってはいけないことに
なっています。ナビゲータは本人が困難を乗り越えるアドバイスをすることはあっても採点
したり、教えたりすることはありません。
毎日やると決めて、調子がいいときも悪いときもたんたんとやり続ける。これこそが
本当の意味の学力につながります。試験勉強を一夜漬けで乗り切る要領のよさは
試験は乗り越えられても、見せかけの学力に過ぎない。また、興味のあることだけを
学ぶことも、学びの可能性を狭め、下手をするとわがまま放任の”第2の教育”に
なってしまう。そういうことを「らくだ教材」は教えてくれます。
☆「教えない教育」を身をもって学ぶ「インタビューゲーム」
「らくだ教材」の指導者は平井さんの「教えない教育コーディネーター・
実践講座」を受講します。ここでは「インタビュー・ゲーム」が実施されます。
「インタビュー・ゲーム」では2人がペアとなり、互いに20分づつ、インタビュー
し合います。そしてインタビューしたことを相手の立場に立ってB6用紙一枚に
まとめるます。まとめたものを本人に見てもらい、赤入れ(修正)してもらいます。
最後に全員が書いたものをコピーして共有し、何を感じたかを話し合います。
インタビューにはルールが3つあります。インタビューする側は「何を聞いてもいい」
しかし、答える側は「聞かれたことに答えなくてもいい」「聞かれないことを話してもいい」
というルールです。これだと聞く方も聞かれる方も互いにいやなことはしなくても済むので
気兼ねなく話をすることが出来ます。こうして安心して話が出来る環境だと、たとえ
20分でも、普段話さないような色々なことを話せるものです。
そんなことをして何になるの?どこが教育に役に立つの?と疑問を感じられる方も
多いのではと思います。私自身もそうでした。ところがどっこい、色々なことに気づくのです。
まずわかるのは、自分が言いたいことが相手に伝わるのではなく、相手の聞きたいことだけが
伝わると言うことです。相手のまとめたB6用紙を見ると、「ふうん、そんな風に伝わるのか」と
思います。講演とかで全く同じことを聞いても感想を書いてもらうと一人一人聞いたこと、感じた
ことは全然違いますね。
ここに学びの本質があります。学びとは、何か情報を入力し、それを編集し、アウトプットする
という情報処理のプロセスです。その「編集」というプロセスにおいて、必ず、自分自身の
興味、経験、価値観、思いといった主観的なものが影響を与えるのです。客観的な学びなど
ありえない、といったことを「インタビューゲーム」に参加するとはっきりと気づきます。
同じことはマスコミにも言えます。例えば「教育界各国民会議」を各新聞がどのように報道したか
を比べてみると面白いです。編集という作業が如何に意図的で客観的であり得ないかが
はっきりと見えてきます。各新聞の読者投稿欄を比べてみるのも面白いです。取り上げられている
読者層が全然違います。
で、何が言いたいかというと、このような人間の学びの特徴、すなわち、一人一人が主観的に
編集してしまう、という特徴を捉えない教育はうまく行かない。ということです。平井さんは
情報を一方通行で流す「上位下達」的教育はうまく行かない。といいます。先生が一方通行で
情報を流しても、一人一人が思いのままに編集してしまいますから、思うようには伝わりません。
情熱的に教えてきた先生ほど、自分の思いが伝わらないもどかしさを感じていることでしょう。
結局本人が「聞きたい、学びたいという状態」になっていなければ学びがおこらないのです。
そして、本人が何かに困っている状態であればあるほど、それは学びのチャンスなのです。
平井さんの講座は指導者だけでなく、一般の方でも参加できるのですが、よく不登校のお子さんを
持つお母さんが参加されるそうです。そのとき平井さんは「よかったねえ。子どもが問題を起こして
くれて、そのときこそお母さんが学ぶチャンスなんですよ」というそうです。生まれたばかりの小さな
お子さんをもつお母さんも毎日が問題の連続ですよね。このときこそが学びのチャンスです。
先生が教えるのでなく、自分自身が主体的に学ぶことのできる「場」を作る、
それが教育にたずさわるべき人のやることである。平井さんはこの役割を
「コーディネーター」と読んでいます。
そのような「場」の特徴は何でしょうか?
・情報が一方通行でなく、双方向に流れる。
・参加している全ての人が何らかの「問い」を発する。
これによりその場に主体的に参加する「内部観察者」となり、学びがおこる。
「インタビュー・ゲーム」を主催するコーディネーターはこのような場ができるように
注意を払います。
学びを豊かにするためのもう一つの大きなコツは、出来るだけ色々な人、
とくに自分とは違った経験や価値観をもった人、の話を聞くことです。
「インタビュー・ゲーム」にも色々な人が参加され、それぞれの方の
インタビュー結果が共有され、それに基づいて話し合うことにより、
いままで自分の知らなかった考えに触れ、気づきが生まれます。
我々はどうしても「偉い人」のはなしにばかり耳を傾けがちですが
どんな人でも豊かな「経験資源」を内に持っている。これが「インタビュー・
ゲーム」によって表にでてくる。こうして平井さんは年間200日も
このような講座を全国で開催されています。
☆毎日書いて共有する「考現学」
「らくだ教材」の指導者を中心のメンバー約100名が参加し、
ファクスで自分の書いた「考現学」を共有するネットワークを平井さんは
主宰されています。「考現学」とは自分の思ったこと感じたことを
出来るだけ考えずにフッと書くということを毎日続けることです。
書く内容は2種類あり、一つは自分の身の回りにおこったことについて
思ったことを書く。もう一つは平井さんから送られてくる、「研究素材(
教育に何らかの形で関係のある身近な事件、記事、書き物等)」について
フッと思ったことを書くことです。これをネットワークのメンバー同士で
ファクスで共有します(全員ではなく班の中で)。
これもらくだ教材同様、毎日少しづつでも「書く」ことがポイントです。
これをやっていると新たな学び、気づきがあるのです。
もう一つのポイントは「考えない」ことだそうです。これは私にとっては
なかなか難しいのですが、すぐ考えてしまいます。「考えると
人の言うことを素直に聞けない」と平井さんが言うのですが、まさにその通りです。
私はコンサルタントでしたので、人前で何か考えてしゃべるのが仕事でしたから、
相手の言うことを聞きながらも次に何を言うか、何を聞くか考えながら聞くクセが
ついてしまっています。これは良くないことで「相手の言うことを聞いていない」と
指摘されることがよくあります。素直に聞き、話し、書けるようになりたいものです。
さて、私自身、3月から毎日書くようにしているのですが、それをきっかけに
新たな展開が生まれています。人前で話すのも苦でなくなってきたし、
毎日新たな情報を仕入れることが以前よりも円滑になってきました。
そもそもこのメルマガを発刊しようと決意できたのも、毎日書いていれば
1週間に1回くらい書くのはそれほど難しくないだろうと、思えたからです。
これを10年以上も続けてきた平井さんによると月1回、あるいは週に1回
何かをしようとするよりも毎日やると習慣づけてしまう方が簡単、といいます。
☆結局自分で体験することが学び
以上平井雷太さんの教育ツールについて私が感じたことを書きましたが
これとて、結局私が自分の思いで編集した主観にすぎないのです。
読んでもわからないと思いますが、これを読んでわかった気にならないでください。
わからないと思っていただいた方がよっぽど健全だと思います。
でも何らかの形で興味を持っていただいたならば、如何にご紹介するイベントや
本を通じて直接体験することをお勧めします。
また、ラーンネット・グローバルスクールでも「らくだ教材」の導入(通信教育もあります)
や時には講座も実施していきますので、ご興味の方はメールでお問い合わせ下さい。