ラーンネット通信

日本の心を肌で感じよう!(低学年クラス)

開校27年「出る杭を伸ばす!」探究的な学びで子どもの成長をサポートする神戸市のオルタナティブスクール、ラーンネット・グローバルスクール。今回もラーンネット通信では、フルスクールの探究カリキュラムの一つであるテーマ学習についてご紹介します。

2023年10月から12月の間、低学年クラスが取り組んだテーマは『日本文化』。
このテーマでは、日本古来から続く4つの「」を知り、その中で大切にしてきたことを子ども達が自ら体験を通して「感じ」ていきました。それぞれの師と出会う中で、真っ白な子ども達の心の中にすーつと溶け込んでいくものがありました。

始まりは、日本舞踊。「静と動の時間の区切り」を意識して。
飛鳥流藤抜留美子先生に来校頂き、姿勢を正して、心を落ち着かせ、目と目を合わせる「ご挨拶」を学びます。

11月、秋深まるロッジにもみじの曲が流れます。
お扇子の扱いも教わり、歌詞に合わせて、もみじを眺めます。

藤抜先生の叱らず褒めるナビゲートが心地良かった子ども達。最後にビシッと一曲決めて、「感謝の気持ち」を形にしました。静と動の時間の区切りを体得する機会にもなりました。

 

二つ目は、茶道。「おもてなしの心」を学びます。
大阪の、裏千家 龍野宗繁先生、宗静先生を訪ねました。

お茶碗の持ち方から、お客様にお出しするところまで、「おもてなしの心」で向き合います。

先生が用意して下さった季節のお花の甘いお菓子と、温かいお茶で、緊張した心もほっとなごみます。お茶室がいつもの笑顔と語らう場になりました。
「これぞお茶の心」と99歳を迎えられる大先生。

技はあっても、体裁は気にしない「相手を思う心を大切に」。お作法の中にある本質を伝えて下さる宗繁先生、宗静先生。その熱意が今回も子ども達の心に響いたと思いました。

続いて三つ目は、心と身体の合氣道。「心身に一本の軸を!」
「今、子ども達の身体、心がなんかおかしい!」と、合氣道を通して子ども達の精神をずっと見守ってこられた小田敏彦先生は、おっしゃいます。

しっかり、座ることができない。
少し押されると、すぐ倒れちゃう。なんでかわかるか?!
身体のどこに力が入っていることが、大事なんだろう?!
子ども達の目をしっかり見て、問いかけられる小田先生。
みんな、真剣に自分の身体に耳を澄ます。

「お腹!」「そうだ!おへその下にある「臍下丹田」(せいか‐たんでん)と、いうところ。ここに力を入れて座ってみろ。」「みんな、いい顔になってきたぞ!」「腹に力が入って、目がしっかりしてきた。呼吸も整ってきたぞ。」
先生は、常に子ども達と対話されて進めていかれます。子ども達の心が落ち着いて、時間がゆっくり流れていくのが感じられます。
子ども達自身が体感し、自分の中に不思議な力を注ぎこまれた、
いや、自ら持っている力が、小田先生の問いから、むくむくと湧き出したような、魔法の時間でした。

 

最後の4つ目は書道。「書で、想いを伝えたい!! 大切な人達へ 」をテーマに。
この日は、フルスクールの保護者でもある書道家 薛翔文先生を講師にお招きしました。
いつもとは違う雰囲気の薛先生に書を習います。

「書」ってなんだろう?! 何かわからないけど、じっと見ている子ども達。
先生が、書に向き合う真剣な姿勢と、子ども達の真剣な眼差しが、響きあってる感じ。この瞬間が、とても好きです。きっと、確かな何かが子ども達に伝わっています。

先生が、書いて下さったのは、掛け軸の言葉。それは、この日、家族に贈る掛け軸を書く時の心構えでした。

「氷壺無影像」とは、壺に張った氷は透き通っていて影が無い。つまり、心に一点のくもりも無いという情景を表現しているのだと解説してくださいました。
「うまく書こう」「ああしよう、こうしよう」と色々考えずに、思い切って、こんな気持ちで字を書いてね。と。

その教えの通り、迷わず自分の心のままに筆を持つ子ども達でありました。

昨年12月の探究シェアリングで、子ども達の企画する「小さなお茶会」に出来上がった掛け軸の書を飾りました。自分の家族をお茶席に招待し、日頃の想いを込めた書とおもてなし。お家の方への素敵なプレゼントになりました。

「道」の素晴らしさにふれ、子ども達一人一人の中に一本の軸ができ始めたら、それが伝統文化となっていくのでしょうね。心を大事にした文化をずっと大切に伝えていきたいです。

(いし)