ラーンネット通信

YT都の修学旅行 ~厳しい道のり編

開校27年「出る杭を伸ばす!」探究的な学びで子どもの成長をサポートする神戸市のオルタナティブスクール「ラーンネット・グローバルスクール」。小学生対象のフルスクールの修学旅行は毎年「行くかどうか」から子ども達を中心に話し合いで決めていきます。今回のラーンネット通信は2023年度3学期に高学年クラス「YT都」の修学旅行を約1年を通して追いかけた、ドキュメンタリー前編です。

昨年4月、新しいクラスになって間もなく「修学旅行の話がしたい」と子ども達が動き出しました。まずはどこへ行くのかを決めました。いくつか候補があり、それぞれなぜ行きたいのかを話しました。そこからみんなの希望が少しずつ絞られ、最終的にはどこに行ってもみんなで行けば楽しいと思うからという理由で「多数じゃんけん(人数が多い方が有利になる勝ち抜きじゃんけん)」で行き先が新潟と決まったのが1学期の後半でした。予算は一人3万円、それ以上の費用が掛かる場合は、自分たちで資金稼ぎをします。今回は新潟に行くという事で移動にお金がかかることが予想され、早めに資金作りにも取り組みました。

資金集めは大変だ~
これまでの経験から、YTくんの発案で運動会の時に飲み物を販売する事にしました。業務スーパーで飲み物を購入し、少しだけ利益を上乗せして販売しました。天気が良かったのでたくさん売れたのですが、予想以上に売れた為に在庫がなくなり、追加の飲み物を買う為に近くのコンビニまで行くなどの努力の甲斐あって、約4,000円の利益が出ました。
次に何を販売するかを考えました。その結果、ミサンガ・カードゲーム・植物図鑑・小説などを作って販売するという案が出たので、夏休みの間にグループに分かれ、販売物の作成をすることを決めてから夏休みを迎えました。しかし、結局実際に販売したのはミサンガだけで、見学日や探究シェアリングの時に50~100円のミサンガをコツコツ販売しました。カードゲームなども発想は面白かったので、取り組んで欲しかったなぁという思いもありましたが、作成に手間がかかることを考えると、2学期が始まってしまってからでは忙しいのでミサンガ以外の製作は断念しました。

のびのびフェスティバルでは豚丼やラーメン、クッキーなどの飲食物の販売と立体迷路で資金集めをしました。店の売り上げは高かったのですが、何をどう間違えたのか大量の食材があまってしまったのです。その為、利益が思ったより低い状況になってしまいました。そして大量の余り食材が、、、世間でも問題になっている食品ロスを少しでも少なくするために、またまたみんなで相談です。そしてラーメンと豚丼を昼食時に給食として希望者に販売することになりました。ラーメンの麵がたくさんあまっていたので、まずはラーメンの販売をすることにしました。販売日を決め予約を取り、足りない食材を追加購入し、調理・販売しました。しかし段取りが悪く台所前には、「まだ~?」、「お腹空いた~」と腹ペコキッズたちが長蛇の列。調理班は自分たちの昼ご飯そっちのけで調理にあたり、何とか昼休み中に予定した販売を終えることができました。次は大量にあまっていた玉ねぎを消費するために、豚丼と玉ねぎスープを販売することになりました。同様に準備をすすめ、前回の反省から段取りを考え、ラーメンの時よりはうまく販売することができていました。

しかしまだまだあまっている食材があります。中力粉や調味料などなのですが、調理をして売るのは大変過ぎたので、探シェアの時に来ている保護者に声を掛け、食材をそのまま販売し、何とか捨てる食材がほとんどない状態にすることができました。優しい保護者の皆さん協力ありがとうございました。

そして迎えた3学期。みんなが行きたいと思っているプランで計算してみると、予算オーバーになることが分かり、急遽探究シェアリングや見学日に菓子とドリンク、手作りの小物などを売ろうという事になりました。3学期は探シェアが2回もあり、特に卒業生は卒業プロジェクトの仕上げをしなければいけないなど多忙を極める中、クッキーの試作や小物の作成に取り組み、何とか目標金額を達成することができました。

資金集めはなかなかハードでしたが、自分たちの「行きたい」気持ちが原動力となり、目標達成を後押ししたのだと思います。

行き先変更を乗り越えて!
2学期は全体キャンプやのびのびフェスティバルの準備が忙しかったですが、修学旅行の準備も少しずつ進めていきました。行きたい場所や食べたいものを調べ、少しずつプランを具体化していきました。
そこで問題になったのは「移動」です。電車で行くにはかなり時間がかかります。飛行機は時間がかかりませんが、関西から新潟へ行く便は本数が少ないうえに価格が高い。夜行バスが一番安いのですが、車酔いが気になりなかなか話が進みません。また、新潟で一番行きたい場所が佐渡島という子が多かったので行き方を調べてみると、島に渡るフェリーと島内移動のバスの移動で往復5時間以上かかることが判明しました。新潟まで移動するのにも時間がかかることを考えると、遊ぶ時間がゆっくり取れなくなってしまうことに気付き、みんなで相談して行き先を変更することに決まりました。
そして2学期の終わりごろに決まった行き先が三重県でした。すぐに宿を探して3学期の最初に何とか予約をすることができました。そこから2泊3日のプランを立て、移動方法を調べ、料金を確認していきました。

(くまちゃん)